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伝伝虫通信バックナンバー 通巻18号
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モンゴルから留学生がやって来た!

ウーガナー「ハイ、頑張ります。」

4月10日、モンゴルからアジアチャイルドサポート日本留学支援の第一期生のサンボー・ウーガンジャルガル(ウーガナー 20歳)ガ沖縄にやってきました。たった一人で大きな荷物を担いでウランバートル、成田、羽田、那覇空港へとバスや飛行機を乗り継ぎ、やっと沖縄へ到着しました。

彼女は両親とも居ません。モンゴル国ダルハンの児童保護施設に暮らしていたこともあります。肉親は貧しい遊牧民の祖父母だけでした。余りの貧しさのために学校へ行くことも大変でノート鉛筆などの学用品さえ、まともに買うことが出来ませんでした。それでも彼女は一生懸命に学び続けたのです。

ウーガナーとおじいちゃん

ウーガナーと初めて会ったのは5年前のことです。モンゴルの子どもたちに対する支援の一環として開催された第一回サンバイノーコンサートの時、モンゴル伝統芸能の琴を演奏してくれたのです。沖縄の大学でウーガナーの演奏を日本の学生に聞いてもらいました。演奏を終えた後、ウーガナーは悲しそうな表情を見せた。「どうしたの」と聞くと「私も勉強がしたい。日本の学生のように勉強がしたい」と遠くを見つめた。コンサートの全日程を終え、お別れパーティーの席上で「ウーガナー、日本に留学する気はありませんか。アジアチャイルドサポートが支援をしますよ」と言うと「本当に信じていいのですか。夢を見ても良いのですか」大声で泣いた。

日本留学のために、ダルハン国立大学の日本語学科に入学すること。日本語検定試験にパスすること。この2つを条件としたのです。これは、かなり厳しいことです。ウーガナーは頑張りました。必死になって勉強に取り組み、懸命に働いて、学費も稼ぎました。そして見事に日本語検定試験に合格したのです。

「あなたは努力をして日本語の検定試験をパスして日本留学の準備のために沖縄にやってきました。あなたの努力を認めアジアチャイルドサポートは支援をします。これからあなたの後輩たちが続きます。ウーガナーガ見本となって立派な大人になってください。一生懸命に勉強することの大切さを後輩たちに教えてください」と強く言うと、ウーガナーは「ハイ、頑張ります」と大声で答えました。彼女が日本語を勉強して立派に成長することが多くの親の居ない子どもたちや貧困の中で生きる子どもたちの夢となり目標となることは間違いありません。


カンボジア洋裁学校 「自分の力で生きて行きたい」

カンボジアの首都プノンペンから北東へ約70キロのコンポンチャム県のメイプリン集落(人口約3万5千人)には地雷被害などで手足を失うなど障害を抱えた人々が1800人暮らしている。健康な人でさえ生きていくことが大変なカンボジアでは障害者が安心して暮らして行くのは非常に難しく、ほとんどの方は仕事も無く親や親戚の保護の下、暮らしている状況です。中には物乞いでしか生きていく手段がない方も居る。

アジアチャイルドサポートは1998年からカンボジアの地雷被害者などの障害者の皆さんに対する支援活動を続けている。今回の訪問はコンポンチャム県メイプリン集落に暮らしている障害者に対する自立支援です。今年の2月はじめから調査を始め、現地の方々と話し合った結果、「ミシンを勉強して洋裁技術を身につけたい」との申し出がかなりありました。昨年ごろから牛小屋にミシンを4台導入し洋裁の勉強をしているのだが、余りにもお粗末な状況で勉強できる環境ではなかった。

2007年2月13日にアジアチャイルドサポートとカンボジア障害者自立センター(代表ナインサオラス)が提携し障害者自立職業訓練センター「カンボジア日本洋裁学校(仮称)」を建設することに決定した。早速、ミシンを30台導入すると共に現地の建築会社の見積り(日本円で約500万円)を取り、そして基礎工事が始まった。

カンボジア日本洋裁学校の生徒たち

今回の訪問で驚くことが起きていた。メイプリン集落のお寺の住職(ミエンソックポーン住職)が「日本の団体がメインプリンの障害者の皆さんのために洋裁学校を建築し支援することを聞いて感動した。お寺も皆さんのために何かをすべきだ。ぜひ、お寺の境内にある建物を学校が完成するまで提供する」と申し出があり、一日も早く洋裁学校を学び仕事をしたいと熱望していた障害を抱えた皆さんが集まってきた。そして、寺の敷地内にある建物を借り「カンボジア日本洋裁学校」の第一期生35名が入学し洋裁技術の勉強が始まった。障害者の皆さんのほとんどは学校も行っておらず文字の読み書きさえも出来ない状況です。洋裁技術の勉強と共に文字の読み書きなどの基礎教育も行っています。

本格的な洋裁学校の建築も始まっています。アジアチャイルドサポートの活動はカンボジアの障害を抱えた皆さんの希望になっています。地雷で片足を失った方、ポリオで体の自由が利かない方々が懸命になってミシンを踏み洋裁の技術を学び始めました。

カンボジア障害者自立センターコンポンチャム県支部長の ソーイソホーンさんは「日本の皆さんの支援に心から感謝しています。私たちは障害を抱えているために地域の人々からも差別を受けています。学校に行くことも出来ない子どももいっぱい居ます。カンボジア日本洋裁技術学校をアジアチャイルドサポートと共に頑張って、この学校を必ず成功させます」と固い決意を述べた。

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